1.《ネタバレ》 戦争の怖さは当事者でない限り到底分かりっこない。
リアル云々なんてのは実体験のない傍観者の絵空事に過ぎない。
けれども、この作品のすごいところはその傍観者をも戦場に引き込んでしまう演出にある。
物語は、すべて戦車内部とその戦車目線で映し出される映像のみで展開されている。第三者の目からみた俯瞰映像は全くない。つまり、戦場となっている市街地全体のヒキ画すらないという事だ。そういう状況の不鮮明さが、登場人物たちの抱える不安と妙にシンクロするのだ。また、クローズアップが多いせいか彼らの息遣いまでもきこえるようで、その場の緊迫感がひしひしと伝わってきてまるで自分もその場にいるような錯覚すらした。
ただ、勿体無いのは登場人物の個性を最後まで生かし切れてない点や無駄な説明がない分、やや強引な展開になってしまった事くらいかな。
この手の作品にしては予算もロケーションも安目に済んだほうだと思われるが
ワンアイデアをうまくひきだしたのは評価すべきでしょう。
ラストシーンのひまわり畑は印象的でした。