2.《ネタバレ》 ヴァイオリニストであるデビッド・ギャレッドが自ら企画、主演、演奏を行っているが、演技の方もなかなかである。で、当然ながら本職であるヴァイオリンテクがすごすぎて、それだけでも楽しめる映画になっている。ただ今ひとつ人間描写がいまいち希薄であり、パガニーニに入れあげているロンドンの指揮者のお父さんが「いい人」しすぎてだんだんかわいそうになる。彼はパガニーニのせいで全財産を失うが、コンサートの成功後、お金は取り戻せたのかどうか、パガニーニが賭けで手放したヴァイオリンは取り返したのかどうか、パガニーニがなぜコンサートをすっぽかして途中から現れたのか(劇的な効果を狙ったのかどうかも不明)、いろいろ細部が行き当たりばったりでもやもやするが、指揮者の娘シャルロットの美声と技巧ヴァイオリンが見られてまあ満足か。妙に絵画じみた背景セットが映像にふしぎな印象をもたらしている。