1.《ネタバレ》 ■1988年のチリのピノチェト大統領の信任国民投票、独裁政権が国際社会の圧力に負けて形だけでも行うということでなされた国民投票だったが、当初の予想を覆して大統領が不信任(NO)されたという実話を、NOキャンペーンを担った広告マンを軸に描いた映画。本映画の3割ほどが当時の実際の映像だという。題材は非常に意義深いもので、この歴史的事実は多くの人に知られるにふさわしい出来事だと思う。
■描かれている出来事そのものは劇的だし面白いもののはずなのだが、映画は非常に淡々と進む。最初の方では「不信任が勝ったら奇跡」と当の不信任の陣営が口をそろえて言っていたのに、いつのまにか不信任遊星の状況になりピノチェト他政府側が必死になっている。いくらドキュメンタリータッチだと言っても、何が間にあってこの逆転が起きたのか、ビデオ撮影している以上のことがほとんど描かれていない。
■実際には、かなり入念な調査、準備、多くの人の協力とムーブメントがあったらしい。「「ピノチェト・ノー」の運動」(http://www.tufs.ac.jp/ts/society/masaaki/news/no.htm)のページには詳しく出ているが、こちらを読んでいる方が手に汗握ってしまったのはやや残念なところでもある。