1.《ネタバレ》 「ゾンビ大陸 アフリカン」(2010)の兄弟監督が撮った続編とのことだが、登場人物の違う独立の話なので無関係に見られる。劇中世界は同じだが時間的には少し後のようで、アフリカで噛まれたインド人が国に帰って感染を広める形になっている。
ロードムービー風なのも前作同様で、今回は主人公がインド北西部のラジャスタン州から南方のムンバイまで500kmくらい移動する。風景は全体的に乾燥気味で、現地の名物的なものとしてスリムなサルが出ていたが、これはオナガザルの一種「ハヌマンラングール」と思われる。最後の砦はどこなのか不明だった。
ゾンビの性質は前作と同じなので、不意をつかれるとか集団に囲まれるのを避ければいいわけだが、それでも毎度エンジンのかかりが悪いなどで無理にスリリングな感じを出している。場所がインドというだけで、単純なゾンビ映画としてあまり特徴的なものはない。
場所柄を生かした趣向としては、インド古来の考え方から輪廻転生と業、因果応報といったものを取り入れたらしい。登場人物の話を聞いてもすっきりわかった気はしなかったが、若干面白かったのはゾンビを転生形態の一つとしていたことで、これは仏教でいえば「六道」にもう一つ「ゾンビ道」を加えるようなものかと思った。ゾンビに魂があるのかないのか不明だったが、前の人間とは別の魂(前世がサルとか)が入り込んでいるということならあるかも知れない。
また生埋めになったのは「共にいられるよう」という意味だと思うが、その元になった物語がそもそも意味不明だったのは困る。少し真面目に探したが、「ジャータカ」の関係で本当に生埋めエピソードがあるのかどうかは確認できなかった。劇中の話の通りであれば3人はいなくなるわけだが、みなでどこかへ転生するのか、あるいは即身仏になったとかいうことか(参考映画「湯殿山麓呪い村」1984)。少年は今回で成仏してしまいそうだったが、主人公は駄目だろうから次回以降に頑張ってもらいたい。
そういうことで、アメリカ人が東洋の輪廻転生の世界に取り込まれてしまった話かと勝手に思った。わけのわからない映画だが基本は好意的なので点数は悪くしない。