1.《ネタバレ》 入学式の行われている体育館。開かれた引き戸から、外の桜が見える。
あくびをかみ殺す生田斗真とふと目が合うショートカットの広瀬すずの髪が微風にかすかに揺れる。
そうした外光と微風とを活かした慎ましい演出が安定の三木組らしさだ。
序盤は極力携帯電話を持ち出さず、授業中の親友とのやり取りもメモ書きの手渡しだし、
ラブレターや、試験勉強、九十七点の答案用紙と、直筆の文字を映画の感情を引き出す小道具としているのがいい。
居残りの広瀬に数学を教える生田が走らせる鉛筆の流暢な音が、それだけで彼女の恋情を引き立たせている。
確かに広瀬すずは超絶かわいいのだが、それも撮影の山田康介を含む、照明重視の三木組スタッフワークあってのもの。
かつてはスタッフ軽視の失言でバッシングもされた彼女だが、しっかり主役を張っている。