16.まず余談だが、ファミコンのゲーム版を子供の頃によくやっていた記憶が甦った。
テレビゲームが下手だったので、ファーストステージのボスである“棒術使い”を倒すのがやっとだった。
ちなみ映画には、その棒術使いも、他のブーメラン使いや怪力男も出てこなかったけれど……。
ジャッキー・チェンというアジアを代表するスーパースターの「価値」を個人的に再認識している今日この頃。
彼が身体的に絶頂期だった頃の作品をちゃんと観ておこうと思い、「プロジェクトA」「ポリスストーリー」に並んで評価の高い今作をとりあえずチョイス。
スペインを舞台にした「活劇」と呼ぶに相応しいジャッキー映画だったと思う。
何と言っても、少年時代からの盟友であるユン・ピョウ&サモ・ハン・キンポーとの絡みが、一映画ファンとして非常に楽しく、共演している彼ら自身が他の誰よりも楽しそうなことが、とても微笑ましい。
最初のアメリカ進出が不調に終わり、一度原点に立ち返ろうと、監督にサモ・ハン・キンポー、相棒役にユン・ピョウを配した今作は、ジャッキー・チェン個人にとっても極めて記念碑的な作品になったのだろうと思う。
ここから再度スター俳優としての地固めを強め、不動の国際的スターに上り詰めていくわけだから、持つべきものはやはり「友」だなと思う。
1984年の香港映画らしく、時代を感じさせる“ダサさ”は目に付く。ジャッキーをはじめ主要キャラクターの服装がことごとくダサい……。特にユン・ピョウの服装はダサいを通り越してもはやスゴい…。
しかし、30年の時を経ると、その“ダサさ”すらも映画としての味わいに変わってくるもの。
ストーリー上の理由は分からないが、何らかの理由でスペインに渡り住んでいる中国人たちが、逞しく楽しそうに生きているということが、彼らの服装に表れているようにも見え、結果としてナイスな衣装センスだったのだと思える。
一方で、彼らの体技は物凄い。冒頭の“朝練”シーンから、屈強な体の張りと、動きのキレに惚れ惚れしてしまった。
そして、原題が「快餐車」というだけあって、意外にもカーアクションが充実していたことも印象的。
年代的に今作以前のジャッキー・チェン映画の鑑賞率が非常に低いということに気付いた。もう少し、彼のフィルモグラフィーを遡っていってみようと思う。