9.映画館に入ったときは、周りが皆若い人ばかりでこっぱずかしかった。またそれは映画の内容(男女の身体が入れ替わる)からも受けた。しかしいつのまにか、ハラハラどきどきの感情は、私の少年時代の頃と同じものになっていった。そういうずっと昔の記憶がある。
映画は大林監督の名前を有名にさせたが、男女の身体が入れ替わるというのは不健全という見方もあった。そのため映画制作も中止に追い込まれそうになったとも・・・。
それが大きな反響を持つ映画となったのは、主役の若い二人に負うものが大きい。とくに小林聡美の体当たりとも言うべき演技は光る。完全に入れ替わった一夫になりきっていてすばらしいの一言。
転校生がやってきて、今度は自分が転校生として去っていく。実にノスタルジック、尾道を舞台にした映画がいやに多いと思っていたら、それが皆大林宣彦監督だったと知ったのはずっと後のことだった。