1.《ネタバレ》 何者にもなれない30歳女性の惑い。
自分がどうしたいのか分からず、やりたいことも付き合っている男もとっかえひっかえで長続きしない。
確かに原題通り、リアルに付き合ったら面倒臭い"最悪な人"なのだろう。
とは言え、昔と違って女性の自由も選択肢も広がり、
元カノの風刺漫画家に「女を侮蔑している」と意識高い系のフェミニストが発言できるくらい、
ヒロインの悩みがあまりにも贅沢になってしまったように感じる。
清潔感たっぷりなオスロの街ではなく、発展途上国が舞台だったらこうも行かないだろう。
元カノの漫画家が別れる際に「君はいつか後悔する」と発言し、事実、彼はガンに侵され死ぬことになった。
自分はこのまま何者になれず母親に落ち着いてしまって良いのだろうかと悩んでいるうちに、
足に地をつけなかった不安定な心を救ってくれる人がいることに気付いていれば、
きっとガンの早期発見はあったかもしれない。
その一方で新しい恋人との妊娠にすぐ向き合っていれば、たとえ流産でも破局はなかったかもしれない。
人生とは後悔の連続で、選択の積み重ねでもある。
主役にもなれない取り留めのない人生だとしても、何かを掴んだ彼女の人生は今日も続いていく。
レナーテ・レインスヴェが多彩な表情で痛々しくも呆れながらも好演していたのが性的シーンの下品さを和らげていた。