4.《ネタバレ》 完成直後に監督トニー・リチャードソンがエイズで亡くなるわ製作会社が倒産するわで、お蔵入りになりかけ完成後3年経ってようやく公開されたという因縁作だそうです。リチャードソンの後期作らしく演出にキレがない凡作ですが、オスカーを獲ったジェシカ・ラングの演技はさすがに見事です。情緒不安定で直情型の人妻という役柄は演じやすそうですが、ラングみたいに「プラス純情」まで表現できる女優はなかなかいませんよ。『キングコング』の屈辱デビューから15年あまりで2度もオスカー受賞する大女優に成長したのですから大したものです。旦那のトミー・リーも、女房の奇行を受け入れ核実験での事故を隠蔽しようとする上司にも耐え忍ぶ軍人役で、最後に上司をぶん殴って精神病院に閉じ込められるところなぞ、東映やくざ映画の高倉健みたいで好演しています。