1.承知して手掛けた再映画化なのだろうから、黒澤と比較しては気の毒などと言ってはいけなかろう。と思っても、やっぱりテレビっぽいんだなあ。アップの多用で、たとえば手なら手に意味が集中しているような画面とか、おそらくテレビの話法としては充分生きるとこなんだろうけど、スクリーンだとスカスカになってしまう。あと音楽(監督のお兄さん)がかなりうるさかったこと。この原作はどうも自分なりの解決篇を付けたくなるらしく、今回は因果ものめいた出来事を絡ませていた。三つの証言にそれぞれ雨・風・雷三様の背景を持たせる趣向、死んでいく夫の前で繰り返される「あなた…」の声の調子が多様に変わっていく趣向、ラスト森の中でくねくね動き回ったカメラが樹を這うトカゲを捉える趣向、などは面白かった。で比較するが、黒澤の森のほうが深かったね。