1.音楽おさえめのドキュメントタッチの刑事もの。ザラリとした味わいは刑事という「職業」から来ているのだろう。最も他人とざらついた関係を持つ仕事。ザラリに対してドローンと粘ついた人間関係を思わせる「民族」ってものが次第に浮き上がってくる。ここに思わず吸い込まれかけるところが、本作の評価の分かれ目で、私はやや唐突に思われたが、迫害され煮詰められてきた血の歴史を考えると、こういう感じってあるのかなあ、とも思う。反ユダヤビラの気色悪さは相当なもの。冒頭の「恩返しになぜ悪が生まれたのか教えてやろう」というせりふが全編を貫いている。ちょっとちぐはぐなユーモアは、狙いなのか下手なのか。