22.《ネタバレ》 盛り上がりそうで盛り上がらない。読めなさそうで読めてしまう。
『誘拐犯から誘拐する』という犯人二重設定は面白いですね。
ですがそれが驚きにつながりません。せっかくのアイデアが活かしきれていないようです。
『意外すぎる人が犯人』ってのも、なぜかサプライズ感が薄い。
『囮捜査で仲間を失ってしまったエピソード』が、その後劇中で活きてくるような展開もない。
一つ一つのアイデア、プロットは凄く良いと思うんです。ただ、描写、演出、脚本があまりにも淡々としすぎたため、一つ一つのエピソードが点と点のままで終わってしまって、うまく線としてつながっていない気がするんですよね。
だから何かが起こっても、驚きよりも唐突な違和感のほうが勝ってしまうのかもしれません。特に後半は、そのイメージが強い。
もし点と点が繋がって線となり、線と線がつながって一つの画をきれいに描けていたら、真相が明からになるときのわくわく感や、爽快感を味わうことができたのでしょう。そうすれば、この作品に対するイメージも、また違ったものになるのでしょうか。
デヴァイン、ジェジー、ソンジ、それぞれの動機が劇中ほとんど語られないのも問題あります。
犯人達が何を思っての犯行なのかが、ほとんど感じ取れません。
劇中では犯人達は、ただ犯人を演じる駒にしか見えません。
演技が悪いとは思えないので、単純にシナリオと演出が弱いんだと思います。
批判的な意見ばかり書きましたが、雰囲気はあるし、テンポも良いのでつまらないわけではありません。ミカ・ブーレムもかわいいし。
期待しすぎると完全に肩透かしを喰らうので、注意が必要というだけですね。