2.《ネタバレ》 内容は完全にナチス批判、これをまだヒトラーが生きてる時に作っていたということに、まず驚き。
戦争という極めて異常な状態でのレジスタントとゲシュタポの駆け引きをサスペンスドラマとして非常にうまく纏めてある。
が、戦争そのものを悪としておらず、ナチスを徹底的に非人道的に描きプラハ市民の命を惜しまない抵抗を賛美することでプロパガンダ映画になるという側面もあり、映画としての面白さだけで考えられたシナリオではないと思うと、単純に素晴らしいと言い切れないのも事実。
チャップリンの独裁者と時代背景、ナチス批判という意味では共通しているが、チャップリンは背景に戦争そのものに対する大きな怒りがこめられているため、非常に思いが伝わってくるのに対し、こちらは抵抗を賛美していることで思い入れしにくい部分がある。
もしかしたら、抵抗を賛美しているように見せつつ、結局いくら抵抗しても結局犠牲者を増やすだけということを描くことで、より深く戦争批判をしようとしているのかもしれない。しかし、見ている最中の感覚は命を張った抵抗を賛美しているようにしか感じられなかった。
当時の映画としては、非常に出来のよい映画であるとは思うが、なんとも、背景に重く暗いものを感じつつ見るのは、やっぱりちょっと辛い。