38.《ネタバレ》 アクションは素晴らしいのですが、ストーリーと世界観は苦手なタイプ。
こーゆーSFって、よほど上手く作ってくれないと、世界が小さく見えてしまって、いまいちノリきれません。
上手いSFは、劇中で表現しきれない部分を、観る人が自然と想像力で補って、頭の中で世界を広げていく面白さがあります。
この作品では、残念ながら想像力が働きません。だから世界も広がらないのです。
そしてアイデア。『感情の抑制』という非常に曖昧な物差しをもってきましたね。
ストーリーの核となる、『妻』『同僚』『ヒロイン?』の処刑。その理由が『感情規制違反』という凄く曖昧なルールによるもので、ピンときません。本当は悲劇なのでしょうが、悲劇と感じさせるための演出ができているとは言いがたいです。
そして、薬をやめ、感情が戻る主人公。その主人公が取る行動。これが凄い。
『子犬』を助けるために仲間を皆殺しにする主人公。
『反乱軍?』を助けるために仲間を皆殺しにする主人公。
感情が戻ったのに、仲間を皆殺しにすることにまるで躊躇がありません。
『そもそも論』になっちゃいますが、『感情が戻ったから、現体制は敵』っていう極論は、この作品が投げかけているテーマに対して、あまりに浅はかな『答え』だと思います。
それに、プレストンがやっていることは、ファーザーがやっていることとなんら変わりません。『権力』が『暴力』にすり替わっただけのやはり『独裁』なのです。
『人類総ロボトミー手術』という破滅的なアイデアは良かったのですが、まさにアイデア先行の出たとこ勝負ストーリー。
ただこの作品、アクションだけは飛びぬけて素晴らしい。
あまりにアクションが爽快すぎるので、それだけでも面白かったです。