15.《ネタバレ》 さわやかな感動を呼ぶヒューマンドラマ、ということだったのになあ。
感動、なんにも生まれません。
キャストもいいし、演出編集などはまじめだし別に文句はないですが。ちょっと無個性というか、工夫が足りないような気もするが、まあ目をつぶってもいい範囲です。
ではなにがいけないかというと、私はこの作品が提供する思想に全然共感できないわけです。
他人の過ちを許せ。生きてる者を優先しろ(この中には犯人も含まれるわけです)。過去にとらわれるな。恋愛については自分の直感を優先しろ(例え他人を犠牲にしても)。
あ~あ、これはさあ、特定の何かがないと解けない気がします。Gで始まる天にましますお方なんじゃないでしょうか。
そして、神様を信じその教えに従って生きているわけではない人にとっては、この話は〝ナンセンス〟〝ダイアナにひどすぎる〟というふうに思えてしまう。
ダイアナ、私にしてみれば彼女は「愛した男性に愛されず」「単なる巻き添えで突然死ぬ」という、不運すぎる人生だった女の子。両親にジョーとの別離を言わなかったのは、言えなかったというより「ぎりぎりまで復縁を待っていた」からですよ。そんなん決まってます。だから片思いのまま死んだ女なんです。
ところが、作り手はダイアナのことをそういうふうには扱っていなくて、じゃどうなのかというと「死んだのは神の配剤。人間にはその理由などわからない。今、彼女は天国に居るのですべてOK。」つまり〝ダイアナがかわいそう〟などと思うのは生きている者の勝手でエゴである…ということですよ。
なので、ジョーの身勝手な行動もバーティのミエミエな誘惑も、許すとか許さないとかいうジャッジの外にあるのです。
〝神様なし〟の状態でこの作品を見ても、ピンと来ないのはそういうことです。作品中で「神様」という言葉は全然出てこないけれど、全体を見れば、こういうことだとしか思えません。
う~んダメです。世界には仏教徒も無神論者もけっこうたくさんいるので、「当然だろ」という顔をして提供してもらいたくないです。「神様ファン限定」と大書きしておいてくれないといけないと思います。