3.ニセ座頭市登場の巻。って、TVの水戸黄門じゃあるまいし。
この憎めない男を演じているのが寛美さんで、どうしてもこういう人が映画に出てしまうと、少々浮いた感じにはなってしまうのですが、とは言え、これも一種の映画史における奇跡でも言いますか、二人の名優が噛み合わない演技をぶつけ合う、なかなか貴重な光景ですから、それも含めて何だか憎めないんですね。それにしても寛美さんが大映に出演、どういう背景なのでしょうか。ちなみに同年の次作(地獄旅)には、今度は子役で直美さんが出演してたりするのですが。
本作、海辺に佇み、見えない目で海を「見よう」とする座頭市、なんていうちょっとポエムなシーンもあるけれど、百叩きの刑を受けながら涼しい顔をしていたり、本人がそばにいると知らずに自分の悪口を言ってる連中に、わざわざイヤガラセをしてみたり、だいぶお茶目な座頭市が登場します。なのに、いざ殺陣となると、まー斬るわ斬るわ。クライマックスの斬り合いでは、もはや収拾がつかなくなってしまった印象のまま、早々に映画が終わってしまいます。早っ。