2.《ネタバレ》 もうこれは、ひたすら「俳優・笠智衆」を鑑賞する作品です。ステテコ姿でとことこ歩くだけですでに芝居になっていますし、台詞はあれこれ言わずに一言でびしっと決める(「ここには誰もおらん!」が最高です)。また、大半が寝たきり状態なのに、表情だけですべてを伝える杉浦直樹のサポート演技も渋すぎ。一方で、杉村春子や倍賞美津子は、不自然な説明台詞をいろいろ喋らせられているのが残念。演出の興味関心が笠さんに一点集中しちゃったんだろうか、と思ってしまうくらいです。●ただし、実は一番画面上に出てきて嬉しかったのは、婦長役の五大路子さんだったりします。