1.く、暗い・・・。これが当時からカルト的人気を博した「地帯(ライン)シリーズ」ですかあ・・・。お好きな方にはたまりません的世界観の好事家向きの映画ですねえ・・・。同時期に日活で大量製作されていた小林旭や裕次郎主演「無国籍映画」と同趣向の映画。ただどこまでも明るく乾いたタッチの日活映画と違うのは、こっちには徹底的に暗い情念が画面に漂っているという点でしょう。これは「新東宝」という会社が持つ体質的な暗さなんでしょうか?中川信夫監督の「怪談映画」にも通じるものがこの作品にも顕著に見受けられます。主役のニヒル天地茂氏の顔なんて、いつ吸血鬼に変身してもおかしくない。神戸のカスバ(!)迷宮街に巣食う売春組織の巨悪との対決というのが本筋みたいだが、ストーリー自体はどうでもいいような感じ。この圧倒的暗さの中、カスバのネオンとけばけばしい真っ赤な帽子を被った、あっけらかんヒロイン三原葉子だけが渋い輝きを放っている。あの混沌とした迷宮街ってロケなの?セットなの?一度は訪れてみたい気が(笑)