1.《ネタバレ》 え~四谷怪談って、こんな話だっけか~?という映画。何しろ、登場するのは「善いイエモン」(とは言えやっぱり結構ワルいけど)。こういうイエモン役だから長谷川一夫なのか、それとも長谷川一夫を呼んでしまったから仕方なくこういうイエモンになってしまったのか? まあとりあえずは四谷怪談らしくお話は進みます。それにしても、お岩さんには映画の最初からすでに生気がありません、すでに生前からユーレイみたい。出世欲の無い伊右衛門をなじる父との会話、父「岩も肩身が狭かろう」、お岩「いえ私は」、父「お前は黙っておれ」。う~む自分で話を振ったくせに、だいぶ理不尽だ。お岩さんの幸薄さをすでに感じさせます。でまあ、いい感じに不幸への階段を滑り落ちていって、ついに恒例の変身(?)シーンへ。ここがもっとも切なくもコワい見せ場、と思いきや、わりとアッサリ目の描写(でもちょっとコワいよ~ん)。問題は、伊右衛門は陰謀に加担しておらず、むしろ騙される側、被害者であるという点。だもんで、クライマックスは、陰謀を知った伊右衛門が悪党どもを叩き斬っていくという展開へ。うひょ~これじゃあ、恐怖映画じゃなくてチャンバラ映画だよ。というわけで、なかなか意外な展開が楽しめるのですが、その分、焦点がボケてしまっていささか即物的、深みへと掘り下げることには必ずしも成功していない気が。可もあれば不可もあり、ってとこでしょうか。