1.ガーフィールド大統領暗殺事件を題材にしたマカロニ・ウェスタン、なのですが、題材となっている暗殺事件が、どう見てもコレ、ケネディ大統領暗殺事件やんか(製作のほんの数年前)、というのが売りの作品であります。そういう意味では、いまさらこんな中途ハンパな作品を観なくとも、『JFK』を観れば充分ではないのか、と言われそうですが、いやいやいや。こちらにはこちらの味わいが。何しろ、実に強烈なカメラワークです。「どう撮れば面白いか」を考えるのは大事なことですが、本作、考え過ぎてしまったのでしょうね(正直、横顔ドアップがいかにも暑苦しい)。で、内容はというと、前半は、ジュリアーノ・ジェンマ演じる主人公が、大統領を暗殺者の手から守ることができるか否かに眼目があるのですが、本作の場合、大統領が暗殺されなければオハナシにならないので、とりあえず暗殺されます。で、後半は敵の一味に闘いを挑む、ジェンマ、と来る。正義のためでもあるし、殺害された父の復讐でもあるし、大統領暗殺犯としてデッチ上げられた友人オズワルド(という名前じゃないけれど)の復讐でもある。そこにさらに、亡き大統領の側近の暗躍も絡んできたりして、大いに盛り上げたいところではあるのですが、これがイマイチ。主人公が妙チキリンなルールで決闘を挑むのが、マカロニらしいと言えばマカロニらしいのかも知れないけれど、どうも取ってつけたような感じ。やや社会派的なテーマの本作にそういう要素が合わないのかというと、決してそんな事は無いはずなんだけど、どうもテンポが悪いんですかねえ。ラストの対決も拍子抜けだしなあ。でもラストシーンは素晴らしい。意地を張っていた男たちが、あくまでそれぞれ自分の信じる道を歩いて行くんだけれど、一瞬、歩み寄る。うーむ。何が問題かわかった気がする。本作、ジェンマそもそもミスキャストなのではないだろうか(ひとりだけ不真面目な奴が混じってるように見えてしまうのです)。