1.《ネタバレ》 うーむ、消化不良気味。前評判で想像していたサクセスストーリーとは違う。ただピアノが好きで弾きたくて、その欲求を胸の泉にいつまでも貯め続けている男の話なんだけど、どうもその情熱が見えてこない。うらぶれた生活とピアノのレッスンシーンの二面から主人公の生活を映しているけれど、そこから何を表現したかったのかよく見えない。主人公の中の葛藤もピアノへの執着も案外さらっと描かれていて、映画の中に一本通っているはずの軸が私には見つけられなかった。夜の暗いバックに光の粒を落としたようなシーンがたびたびあり、なるほどこれで「真夜中のピアニスト」…ちょっとこじつけかなあという気がしてこれも消化不良。ヘタレピアノ弾きとしては「簡単そうだけど弾けないの…」と言う、録音されたお母さんの言葉に深く深く頷いたのだった。