1.カメラが動きすぎる。人間の体全体を収めたいので、動き回って倒れるまでを画幅に合わせたいのだろうが、疲れる。むかしはもう少し節度がなかったか。作品のモチーフは居心地の悪さ、っていうようなことね。『仁義の墓場』と同じ不器用な人間の鬱屈。主人公に対して共感は湧かないが、不器用さに対する作者の思い入れは納得します。金子信雄の警察側と藤岡琢也のヤーサン側との宴会。主人公がそこに不快を感じるのは、何も腐敗に対する正義感ではなく、境目のない曖昧さに対する気持ちの悪さ・居心地の悪さなんだろう。だいたいやくざなんて社会の曖昧さが苦手でハッキリとした組織に付いたんだろうに、そこも社会の縮図で曖昧さが満ちていたって訳。だから善悪をハッキリさせてしまったラストは、ちょっとしぼむ。大島渚はけっこう長ぜりふだった。成田三樹夫を初めやくざ常連が警察側。けっきょくキャラクターとしては同じなんだ。