1.冒頭、大量の茶摘娘が茶畑から出たり引っ込んだりするのに圧倒され身を乗り出したものの、本編に入っての石松のそそっかしさの描写が一本調子で、そのハイテンションぶりにややゲンナリ気味だったが、丸亀のお家騒動が絡んできて盲目のお姫様が登場したり(夕焼けをバックにしたやけに叙情的なシーンも時代劇の一景としてちゃんとハマる)、スリの三次なんてのも絡んできて「時代劇」の雰囲気が濃くなってくると再び嬉しくなった。茶摘娘以外にもエキストラをケチってなく、時代劇のエキストラは最低でもカツラと衣装が必要で現代劇の何倍もの経費が掛かるんだろうが、そこは映画黄金時代の贅沢さ、たっぷり堪能。三十石船のくだりはオーソドックスに見せ、しかしそのあとに竜宮城での里見浩太郎とひばりのレビューシーンが続くという緩急自在、ついで宿場ボーリング場での立ち回りになだれ込む弾けっぷり。かつで時代劇の器はこんなにも大きかったんだ、とうらやましくなったり、その喪失を哀しんだり。