4.《ネタバレ》 気分が悪いですね。オリバー・ストーンの「セイヴィア」の時のように。
なにか激しく〝反則〟という気がします。
他人と交わらない暗い性格の女子がいます。さて、彼女にはどんな過去の傷があるのでしょうか…という提示をしておいて、答えがそれじゃ反則なんじゃないかと。
だって、そんな「セイヴィア」並みの離れ業を持ってこられたら、こっちは黙るしかないじゃないですか。
なんだか、「どうだ、誰も文句を言えないだろう」と、腰に手を当てて上から目線でものを言われている気がしますね。
そら何も言えないですよ。フツーに生きてきた日本人ですから。
でもさ、なんかズルだと思うんですよ。いきなりそれかよって。
そして、よく考えてみると話もいいかげんすぎませんか。要するに「心が広くて経済力もある中年白人男性が、戦争被害者のかわいそうな女子を一名救った」てなことになります。
なにか、「秋元康が高井麻巳子を救った(と本人は思っている)」と似たようなものを感じるわけです。全然似ていないようで、パターンは同じではないのか。
上から目線に過ぎます。発想がテキトー投げやりな話なんですが、雰囲気にだまされがちです。
ミステリアスな雰囲気で観客を引っ張る話なので、退屈はしませんが、主役のサラ・ポーリーがまた、女子受けの悪いタイプの女優ですので、全然応援する気にならないのです。いくらティム・ロビンスががんばっても、二人のロマンスにいまいちノレませんでした。サラ・ポーリーってさあ、美人じゃないうえ性格も良くないのにいつのまにかちゃっかりと欲しいものをゲットしているタイプの女子、なんですよ。本人がそうなのかは置いといて、生き延びたハンナ像にはそれが合っています。生き延びた=恥であるとカウンセラーのインゲは言っていますが、ジョゼフに告白していない秘密の中には、生き延びるための妥協や要領を駆使したことが含まれるに違いないのです。例えば広島で原爆を生き延びた人は恥とは思いませんよね。ハンナの場合は生き延びたのが〝恥〟だというのですから。
そして、ホテル監禁時に出産した女の子は死んでいるわけですが、その〝死〟もハンナが〝生き延びる〟ためのものだったのではないか。そして今でも日曜の朝に〝罪の意識〟を持って訪れる。
ヤケドメークはリアルで素晴らしかったです。がとっても後味悪いです。