10.《ネタバレ》 今回の被害者は、女子大学生3人組。
知性を感じさせるクール・ビューティーのベス、グラビアモデルのようなお色気美人のホイットニー、鈍くさくてあか抜けない処女のローナ、という面子。
弱い者イジメが大好きな陰惨な人間には、たまらなく魅力的な設定かと。
ワタシは女性なので、「描き方によっては引くかも…」と覚悟しながら観ましたが、やはり制作総指揮タランティーノ、心配ご無用でした。
他人を苦しめたいという暗い欲望を満足させるのが目的の映画だったら、スナッフ・ビデオと変わりません。そんなセンスのない頭の悪い映画を、タラ&ロス監督が作るワケがなかったです(笑)。
興味深かったのは、自分の「男らしさ」を証明するために殺人をしようとする、2人のアメリカ人。
アメリカ人てのは、本当に「男らしさ」というジェンダーに縛られているのだな~と思いました。
「殺人をする事で英雄になる」という発想は、少年犯罪をおかした頭デッカチの日本人少年らと同レベルで、あまりにも幼稚。
いいトシした中年の白人男が、いつまでも幼稚な縛りから抜けられないでいるっていう所に、アメリカの病理の深さが見えた気がしました。
そんで、その男らしさに拘る気の弱いスチュアートを、ロジャー・バートが演じているのが面白かった。
この人、「ステップフォード・ワイフ」で、男らしさを拒否した魅力的なゲイの役をやっていたのに。ここでは、「俺はヘラクレスのように男らしいのだー!」と吠えてたりして、オカシイ(笑)。
ストーリーは、前作の続きから始まり、キチンとケリが付いたところで、本題に入ります。
タラ監督らしい。細かい部分にも整合性を求め、キャラクターの使い捨てをしない。ハチャメチャに見える映画でも、全てに目を行き届かせている。だから、無茶な展開にも不思議と説得力が出て、面白く観られるのでしょう。映画への愛情が強いんでしょうね…さすが映画オタクです!(笑)