3.《ネタバレ》 藤沢周平の短編小説から。江戸後期は北の小国、海坂の地。野江は、最初の夫に病で先立たれ、次に嫁いだ先にも居場所がない。実家に帰って叔母の墓参の山道で一本の山桜に出会う。背伸びしても高くて取れないその枝をふと折って差し出してくれた武士は、嫁ぐ前に縁談を申し込まれた相手だった・・という話。
磯村野江に田中麗奈、手塚弥一郎に東山紀之。うーん、藤沢作品にこの2人は適役なのかな?と思って観てましたが、どちらも線の細い顔立ちで、和服には合ってました。言葉少なに目で語るシーンが多いのが、良かったんじゃないですかね^^
藤沢作品は、剣達だけど普段は地味で目立たず寡黙で実直な下層武士が主人公というのが多いです。逼迫した財政を新田開墾と年貢増で乗り切ろうとする藩、食うものも食えない農民。昼行灯のように見られていた中間管理職的なキャラがその間で苦悩し、やがて最後の選択として悪政に一刺しする。現代でも通ずる庶民派ヒーローが描かれます。
この作品は女性が主人公でヒーロー役は手塚弥一郎が担っているんですが、ヒロインも押し殺した感情を小さいながらに爆発させ、小さな幸せを掴もうと前に進むという事でどこか似たものキャラになっています。
でも嘆願で切腹を免れたとしても・・と劇中でも語られる通りに、手塚弥一郎がやはり罪人には変わらないとすれば、その妻になるというのは3度目も幸薄いままでは?年貢を元に戻しても財政問題は未解決のままでは?等々ありますが・・
利権を使って私腹を肥やしているのも、庶民に対する税金は上がる一方で片や金持ちや大企業を優遇しているというのもまさに現代と同じですね^^;
そういえば、藤沢周平ゆかりの地・山形ではいち早い上映開始だそうでw