2.《ネタバレ》 「ノーカントリー」で一躍「時の人」となったハビエル・バルデムだ。
ゴツくてゴツい彼は年齢不詳系でどんな年齢の役でもしっくりこなす。老けメークもお手の物。
しかし…本作では、20代の役がかなりキツかった。あのままヤング・フロレンティーノでもうしばらく押すべきだった。
そして、一番もったいなくて、作品の質を大幅に下げてしまったのはフェルミーナ役の女優が若すぎたこと。それなのに強引に老け役まで引っ張ったこと。
う~んなんでなんだ。どう贔屓目に見ても30そこそこにしか見えないのに70歳て。
なんであそこに高齢女優を持ってこなかったのか、大変理解に苦しみます。自分よりうんと年上の女優を「娘」と呼ばせているのが、非常にイタい。
フェルミーナがシワシワのヨボヨボになっていなかったら、ラストの感動は無いも同じです。
シワシワヨボヨボした二人がそれでも「いたす」ことの意味を、考えることができない。
それと、コロンビアの話なのに強引に英語で押し切るセンス、意気地がないねえ。
同じ内容でも、英語で言ったらそのパッションは半分にしか聞こえないんですよ。
特に、「情熱」を重視した内容ですから、ここはスペイン語で堂々とやるべきでした。
想像するに、出資者から英語作品であることとの条件がついたのでしょう。
70歳のフェルミーナが高齢女優であったなら、私もラストで何か感じるものがあったかもしれないのだがなあ。
さて、「愛」とは相手の存在そのものを愛しむことであって、フェルミーナがフェルミーナである限り、何歳であっても愛するというのがフロレンティーノです。
が、あの若い日に結婚していたとしたら、フロレンティーノは同じ気持ちを持ち続けられたかどうか。
フェルミーナは特別に優れた女性ではなく、夫の浮気ですねてみたり、姑を嫌がる、フツーの女ですから、フロレンティーノに対してもいろいろな要求を出し、不満もぶつけたはずです。
「人生の激動期」を共にせず、パスしたからこそ、フェルミーナへの愛が持続した…のではないかと私は思うんだよなあ。70過ぎて結ばれた時には、お互い人生の「凪」ですから、もう真剣にもめる理由もあんまりないですから。そういう意味では、死んだ夫こそ「お疲れ様」だったと思うんだよなあ。
色々な面で残念な作品。