2.なんだか物凄くどんよりとした任侠映画で、その味わいは独特のものがあった。
池部良がニヒルなヤクザ役を演じているが、どうも違和感があった。
なぜなら、池部良と言えば、それまで爽やかな好青年役を演じることが多く、しかもそれが似合っていたからだ。
しかめっ面にドスのきいた話し方で、ヤクザ役を演じてみせているものの、内面に秘めた上品さというか、人間的優しさみたいなものが滲み出てしまっている気がした。
その後、ヤクザ役を演じることが多くなったらしいが、池部良にはずっと爽やかな役を演じて欲しかった。
歳を重ねると、それは無理な話かもしれないが、爽やかな池部良が好きな私にとっては、こういう役は合っていないと思えてならない。
加賀まりこだが、現在のおばさんイメージがあるので、本作のような謎めいた女性を演じられても、どうにも説得力がない。
池部良にしても、加賀まりこにしても、ミスキャストの感が否めない。
それでも、本作のどんよりとしたけだるい雰囲気は、観ていてその世界に引き込まれるだけのものがあり、それはそれで楽しむことができた。