2.《ネタバレ》 クレオパトラが誘拐されるいきなりの冒頭から、絨毯簀巻きの彼女とカエサルとの出会い、カエサル暗殺、アントニウスの敗戦と彼女の自死までを2時間弱に収めた、セシル・B・デミル版クレオパトラ映画。クローデット・コルベールが演じるクレオパトラは、ゴージャスという感じではなく、コケティッシュなイメージ。男どもが彼女になびいていくというより、彼女の方が男どもをたぶらかしているように見えちゃうのですが、これは偏見ですかね?
おそらくはセットや衣装に莫大な費用を投じているのでしょうが、人物中心に映画が描かれる分、ややそのスペクタクル感が伝わりにくい部分もあります。とは言えエジプト王室の贅沢三昧ぶり、みたいなものはしっかり描写されていて、世界の中心たるローマ帝国(当時は帝政ではなく共和政だけど)から来ているアントニーが、すっかり「おのぼりさん」に見えてきてしまいます。
そういう、王室のゴージャスさ。リアル竜宮城。しかしあの、オネーさんたちのあのキャットファイトみたいなヤツは、ありゃ何なんでしょうね?
終盤の戦闘シーン、こういう部分はスペクタクル史劇として期待してしまう部分でして、それが、断片的な映像のパッチワーク風に描かれます。戦闘の激しさと混乱を描いた、技巧的な演出、ではあるのですが、やっぱりここはもう少し、しっかりとした戦闘シーンを見たかったところ。映像が細切れなら、挿入される音楽(チャイコフスキーの「フランチェスカ・ダ・リミニ」)も細切れで、ここまでくるとグチャグチャのカオス状態。せっかくのスペクタクル描写が、物足りないし、いささか勿体ない気もしてきます。
でラスト、クレオパトラは毒蛇に自らを咬ませて死を選ぶ訳ですが・・・ヘビなんだかミミズなんだか、毒蛇まで小さくって迫力が無い(笑)。