4.日本文学小説の趣きを存分に感じることができる作品だ。
ロケーションや家屋の佇まいからして、その時代の雰囲気が良く出ている。
致命傷は、脇を固めるキャスティングだろうか。
藤谷美和子や羽賀研二、森尾由美などが、現在からみればではあるが、作品の雰囲気を見事にぶち壊すキャスティングとなっている。
森田芳光の控え目な演出は冴えわたっているものの、役者選びの先見の明に関しては、否定せざるを得ない。
ただし、それらを全てチャラにするくらい、松田優作は素晴らしい。
穏やかながら、鬼気迫る演技を見せている。