11.《ネタバレ》 一人でも敵を恐れず立ち向かうスーパー保安官ではなく、必死で仲間を集めるところがとてもリアル。
殺されるのを恐れて加勢しない状況もそう。
協力しようとする者もいるが、形勢が悪いのを知って辞退したり、何だかんだで結局共闘する仲間は無し。
孤立無援の主人公の焦燥感が伝わってくる。
ただ、大騒ぎの割りに悪党一味は4人だけというスケールの小ささ。
しかも、その一人を新妻が背後から撃って片付けるとは、従来の西部劇とは随分様子が違う。
決闘までの時間がそのままリアルタイムに描かれているのも、今では『24』などでお馴染みだけど当時としては斬新。
従来の西部劇にないリアルな面白さはあったが、ヒーローに求められるようなカッコ良さや爽快感はない。
一貫したアンチヒロイズムとリアリズム。
主人公は新妻と一緒に逃げれば良かったのに、背中を見せられない性分から留まってしまった。
教会で住民たちから協力を得られず逃げることを勧められながら、それでも留まる義理などなかったのに。
仕事への信念は立派だが、そもそも守るべき住民の支持を受けていなかったし、新妻のことを考えれば意固地すぎるように思える。
結局、新妻に助けられて人殺しにしてしまったし、プライドを捨てて退くのも勇気だったと思う。
そうなると、アンチヒロイズム、リアリズムが行き過ぎて、ドラマにはならないけれど。
決闘が終わった後、保安官を見捨てた住民との微妙な空気が印象的。
グレース・ケリーが若く美しすぎて、初老のゲイリー・クーパーとでは父娘にしか見えない。