2.《ネタバレ》 「ゾンビ」+「パルクール」という組み合わせの、一発ネタのような映画かと思いきや、さにあらず。
予想以上に真面目に作られており、驚かされましたね。
とはいえ「パルクールゾンビならではの魅力」という意味では、序盤の「壁蹴り階段降りシーン」くらいでしかそれを感じられなかったし……そういう意味では、期待外れとも言えちゃいそう。
人間ドラマが中心となっており、ゾンビは障害の一つに過ぎないという扱いなんですよね。
・主人公のコールはウイルスに感染済みであり、薬を使っても十八時間後には発症してしまう。
・時間切れになる前に、唯一抗体を持ってる可能性があるアンジェラを見つけ出し、無事に保護しなければいけない。
という構造になっており、非常にゲーム的な作りなんです。
この辺りは「安っぽい」「薄っぺらい」と感じる人もいるかも知れませんが、自分としては、分かり易くて好印象でした。
それと、メイン主人公のコールだけでなく、サブ主人公としてアンジェラの元彼であるジョーが用意されている辺りも良かったです。
(ははぁん、コールは死んじゃうからジョーをもう一人の主人公として生存させるって訳か……)
とばかり思っていたのに、まさかの両者死亡エンドでしたからね。
これには、本当に吃驚しました。
でも、バッドエンドという訳ではなく、二人とも「無事にアンジェラを逃がす事が出来た」という満足感を抱いて死んでいくので、後味も決して悪くないんですよね。
それぞれ「大手製薬会社に雇われて、汚れ仕事を色々とやってきた始末屋」「麻薬中毒の少年を誤って射殺してしまった元警官」という暗い過去を背負っており「アンジェラを救い、人類を救う事」が「贖罪」であるという風に描かれている。
基本的に主人公が死ぬ映画ってのは好みじゃないのですが、これは冒頭の時点でコールの死が示唆されている事も含め、あまり抵抗を感じず楽しむ事が出来ました。
その他、難点としては、低予算なのが画面から伝わって来てしまう作りな事。
そして、主人公二人は罪悪感を抱いて鬱屈としているし、アンジェラは受け身なお姫様ポジションだし、その他の人物も自分勝手な言動が目立つしで、登場人物に感情移入しきれなかった事が挙げられそうですね。
総合すると、自信を持ってオススメ出来る……という程ではありませんが「意外とイケるよ」という意味で、ゾンビ映画好きには、こっそりと推薦したくなる。
そんな一品でありました。