2.《ネタバレ》 1969年という“時代”の雰囲気をなんとか再現しようと頑張っていることは評価したいところ。
あの頃のアメリカの“自由さ”というものが伝わってくる。
現代においては、何事においても便利な世界にはなったが、何か大切なものを失ってしまったような気がしてならない。
自由を謳歌する精神や、熱狂するようなクレイジーさや、人と人との繋がりというものが失われてしまったのではないか。
法律や規律を守ることはもちろん大事なことだが、悪い意味で行儀良くなってしまったのかもしれない。
主人公の父親もラストで語っていたが、生きているのか死んでいるのか分からないような状態が、現代のような気がする。
ドラッグやフリーセックスが正解とも言えないが、生きているという実感が現代に欠けているような気がしてならない。
映画としては、興味深いイベントが描かれているため、集中して鑑賞できるが、手放しで絶賛するほどの面白さはないと思われる。
多数のユニークなキャラクターが登場しているが、どのキャラクターも活かし切れていないという印象であり、中途半端に映る。
登場してきて会話して終わりか、登場してきて騒いで終わりのパターン。
サブキャラクターは登場するだけでよく、核となる主人公の成長ストーリーと捉えることもできるが、それも曖昧な仕上りとなっている。
ウッドストックフェスティバルを経験することにより、人間的に成長して、地元や親元を離れて旅に出るという流れが、心に訴えてくるほどのデキではなかった。
母親との関係や、ユダヤ人やゲイについても踏み込めていないか。
イベントの描き方としても、祭りの後に残る疲労感やゴミの山というものはきちんと描かれているが、イベントの苦労や障害も簡単に描かれており、バタバタしている間に、なんとなくイベントが始まり、なんとなくイベントが終わったという印象も残る。
実際にその通りだったのかもしれない、また主題から離れているのであえてカットしているのかもしれないが、この点についても物足りない。
また、当時の映像を使えなかったのか、使いたくなかったのか分からないが、肝心のミュージックシーンもないというのもやや拍子抜けか。
1曲くらいはきちんと聴きたかったところだ。