1.《ネタバレ》 海堂尊作品に関してはあたしは他の物を見る気になれなくて、これが初めてなんですが、思ったほど悪くないかな、と思いました。シナリオの展開が非常にステロではあるけど、産科医療の現場を端的に見せるというやり方としては、合格点を与えてもいいと思います。エンターテインメントとしてこうした問題をさらっと扱う部分は上手いと思いますし、何よりも、出産をこれだけ神々しく扱い、そこにクライマックスを充てるというやり方は普通にこういう事に興味の無い人も思わず感動させる力を持っていると思います。
しかしながら、話の展開のさせ方が雑ですね。後日談の形式で生まれてきた子供たちとその親を見せるまでは良かったと思いますが、肝心の主人公の目指していた産科医療がどうなったのか、という所までは全然見せていないし、そもそも代理母に着床させた卵子のはともかく、精子はどうやって採取したのか、とか(多分、劇中で主人公が一度セックスしているけど、そのフローバックを採取したとしか思えない・・・物凄く下衆な話だけど、大事な問題です)、その辺の話が何も解決を見せないまま終わらせるというのは、この映画の根本的な問題では無いかと思います。