2.《ネタバレ》 かつてエジプトに、世界一の図書館を持った街があったと、昔聞いた。その街を通るものは、”税”のように、所持している書物を提出し、それを写し取られて返されると。
「知識」を税として価値を認める優れた街なのだと思っていた。だから、この映画を知ったときには、非常に期待した。
物語は、その知識を重んずる価値観と、非論理で妄信的な信仰心の対立を描いている。基本的には史実だから、あまりドラマチックな展開にはならずに、最後、ヒュパティア先生の成し遂げた発見も、歴史の中に埋もれたまま、殺されてしまうのが悲しい。
彼女が惑星の楕円軌道に気づくシーン、曲線模型の見る角度を変えて、円から楕円に見せるシーンは実に巧い!
ところで、キリスト教をこれ程、黒く描いた映画は珍しいと思う。我々がイメージするのとは正反対に、この映画の中のキリスト教徒のカラーは「黒」。ダースベイダーにみられるように、欧米では黒は、悪または異教徒のイメージ。知識への信仰をもったエジプト人を襲撃し、策略を弄してユダヤ人をも迫害する、完全な「悪役」。
でも、もうちょっと悪性を弱めて、その分先生たち「知識派」との対立と、奴隷くんのドラマを展開すると面白かったと思う。彼は、主人を裏切って、それでも愛していて、そして彼女を手にかけてしまう、とても劇的な役だから。
で、結果的には、自分の期待した雰囲気の物語ではなかったので、ちょっと点は低め。