16.1から5まで見てきてだんだん分かってきた。
バイオシリーズは、ミラジョボの夫でバイオハザード全作に監督なり脚本なり製作なりで必ず関わってきたポールが、
「もし愛しいわが妻をマトリックス風ヒロインにしたら?」(バイオ4)
「もし美しいわが妻をマッドマックス風ヒロインにしたら?」(バイオ2)
「ボクの赤ちゃんを産んでくれてママ業もがんばってるわが妻を、母性をテーマにしたエイリアン2風ヒロインにしたら?」(バイオ5)という、きわめてパーソナルな願望を莫大な費用とスタッフを投入して実現してきた、壮大な”夫によるミラジョボ映像集”なのである。
彼にとっては、妻の映像をとることが目的なのだから、ストーリーのつじつまなんぞどうでもいいのである。
妻がだんだん劣化していっても、夫にとっては「腐っても鯛」なのである。
彼の価値は、ミラジョボへの深い愛だけだ。
離婚を2回繰り返し、夫に恵まれなかったミラジョボが、はじめて”おしどり夫婦”となり2人の子供までもうけることができたのも、ポールのおかげだ。
そしてそんな夫婦愛から生まれた”夫婦の共同制作品”であるバイオシリーズは、彼らの子供であると言える。
我々は新作を届けられるたびに、内容どうこうではなく、
「そうか、また○人目のお子さんが生まれたんだね。おめでとう」
と、素直に受け止めるだけでいいのだ。
もう誰もミラ&ポールの<自己満足型ミラ映像集>の暴走を止めることはできない。
隠れファンの多いレインをつまんない死に方で終了させたり、バイオ3でタバコを一服して笑顔でドカンというせっかくカッコイイ死に方で終了させたカルロスをあえてクローンで復活させておいて即ゾンビに捕らわせて醜いゾンビにさせちゃうのも、ポールに悪気はない。ひとえに
「主役はボクの妻だから、他のキャラはどうでもいいし」
というポールの妻に対する盲目的で一途な愛のあらわれに他ならない。
序盤でウェスカーが「人類破滅の危機だ!!」と言っていたが、その直後に
「アンブレラ社は、NYでのバイオハザード映像をロシアに売り込み、東京のバイオハザード映像を中国に売り込むのダ♪」
とか言っている時点で、周囲のスタッフが
「ポールさん、人類滅亡が迫ってるのに、ゾンビ使って商売って…その設定きつすぎやしませんか?」
と、ポールの暴走を止められないことの方が、人類滅亡より危機レベルが高いことに間違いない。
バイオシリーズで一番危険なのは、ゾンビでもなくリッカーなどのクリーチャーでもなく、そう、ミラ&ポールだったのだ。
子供にいろんな色のお洋服を着せたがる親ばかのように、1では地下の企業内だけの話が、2では外に飛び出し暗い街中が舞台となり
、3では逆に太陽ギラギラの暑い砂漠にしてみたかと思えば、4ではマトリックス風な無機質な世界もおりまぜ、5では冷たい氷水の中…と、ミラにいろんなシチュエーションで演技してもらって、それを映像に残す。
ポールの妻ばかっぷり、嫌いじゃないな。