6.《ネタバレ》 1978年のイギリス映画。恥ずかしながら今回初めて観た。
遺伝子技術によるシリアスなサイエンススリラーと言うより、エンターテイメント性重視の荒唐無稽なナチス陰謀物だと思う。
ハマープロの後を継ぐ、ネオ英国ホラー路線と言うべきか。
そう思うのは、これの2年前に公開され世界中で大ヒットしたホラー映画『オーメン』の影響が感じられるから。
グレゴリー・ペック主演ということ以上に、悪魔の子=世界を破滅に導く者の復活と、それ守護する組織VS阻止する個人の闘いを謎解きのミステリーとして描くプロットが、まったく同じ。
また、『オーメン』の様なA級の芸術性(特に撮影の美意識的こだわり)が無く、気合の入ったグレゴリー・ペックの演技も逆に浮いて見える。
他にも、ユーモアが中途半端だったり、配役やガジェットが同時期に製作された『007』シリーズからの流用だったりと、廉価版であることは否めない。
一層のこと、思いっきりドライに描くか、B級に寄せた方が完成度は高くなったのでは?
クローン技術に着目して逸早く描いた価値は高いが、A級の映画に成り得なかったことが何とも勿体ない。