1.《ネタバレ》 本来は3D映画として制作されたそうで、原題の「立體奇兵」とは終盤に出た赤青の連中がそうだったらしい。確かに、3Dの効果を出すためかカメラに向けた前後の動きが目立つようだった。
今回は設定が初期化されたようで、金爺爺がもともといた「義荘」(第3話冒頭場面のナレーションで説明があった)に最初から少年2人と美少女がいる形になっている。親方と孤児連中の旅という設定はないものの、町内でキョンシーによる殺人事件が起こって疑いをかけられるなど、このシリーズとしてはオーソドックスな印象がある。
内容としてはちゃんと子どもら主体の物語ができており、前回とか前々回のように大人が悪ノリしている印象はなく、コメディ要素にも抵抗なく笑える映画になっている。ベビーキョンシーが敷居につまずいたのに笑わされ(子役は痛くなかったか)、また痒みの素?とか八卦ボックスのようなアイデアも面白かった。最後は残念ながら悲劇に終わっていたが、まずは笑って泣いてという普通の娯楽ドラマの範疇と思われる。
また決戦時の人形の館がファンタジックな作りなのも楽しい。伝統色ある異形の兵団が次々襲って来るのはイマジネーション豊かで、小さい子ならこういうのを喜ぶのではないかと思った。獅子舞が出現したのは変だったが、幇間のようなキャラの坊主頭が青いのがまた可笑しい(気色悪い)。奇兵が消える時のワオンという効果音も面白かった。
このシリーズは初回が好評で第二作を作ったあたりが頂点で、三作目からは低落するばかりというパターンかと思ったが、この新作は子ども向けという基本姿勢を守ったことで、かえって大人も安心して見られる(笑える)佳作になっている。大人の立場としても、子をもって初めて人の道の何たるかを知る、という程度のドラマはできていたかも知れない。
登場人物としては、前回の孤児役5人が少し役どころを変えてまた出ており、前回はグループ中の一人だった美少女が今回はテンテンの地位に昇格したのは順当に見える。もとのテンテンより少しきつい顔に見えるが基本的にかわいいので問題ない。また前回の監督の娘も再登場しており、かなり特別扱いの役をやっている。前回と違って大人の女性の面での見どころはなかったが、子役が微笑ましいので結構だ。ベビーキョンシーも相変わらず愛嬌のある顔を見せている。