1.《ネタバレ》 原恵一監督作品ということで期待しちゃったけれど、フツーのよくあるファンタジーね。『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』や『ポッピンQ』『ひるね姫~知らないワタシの物語~』なんかと明らかに違った突き抜けた個性みたいなのは無かったかな、って。
こんな世界なんですよ、ってばーって見せるような圧倒感とか高揚感とかって無くて、たとえばハエになっちゃったヒポクラテスが城に向かうシーンなんかはCGで1カットで飛び回って世界を見せてくれたりするといいんだけどって思ったけど、数カットの背景のみ、ってジミさ加減で。でもあくまでCG使わない、ってワケでもないしねぇ。美術設定はちゃんとしてても、それをこれ見よがしに披露する気はないみたい。でも、ファンタジーってそこで魅せてこそ、って気もするのだけどねぇ。
あと、ベテランで実写映画までこなしている原監督なワリにカットの繋がりがおかしかったりぎこちなかったりする箇所があったりして。崖の道で石が落ちてくるカット、クルマはそのカットでは停止する表現がないけれど、次のカットでは既に停止してるわよね? アタシの見間違え?
それでもキャラは魅力的だったわ。主人公のアカネが小学生には見えなくて、冒頭すぐのランドセル背負ってるシーンはかなり前の回想?とか思っちゃったけど、でも、全く性格の異なる叔母のチィとのコンビ、そのかけあいが楽しくて(既に声優として数こなしてきてる安定の松岡茉優と、チィの雑な性格に合ってる杏と)、そこだけで最後まで見られるモノになってたカンジ。逆に言うとソコがダメだとシンドくて仕方なかったでしょうね、って状態ではあるのだけど。
世界の危機と言いながら、実は極端にスケールが小さいというか、ごくごくパーソナルな理由で危機が起きてる、悪の組織かなんかが存在してるのかと思ったら、それだけかい、っていうのは肩透かし感ハンパないのだけど、コレって『不思議な国のアリス』から綿々と継がれた系譜、少女の通過儀礼なオハナシ、アカネの辿る成長の道はあったか~く見ていられたわ。ちょっと能動的に動き出すのが遅すぎな気はしたけど。城に着くまではチィの方が主役っぽかったものねぇ。
色々と惜しいカンジの映画、ラストなんかも読めまくっちゃうのだけど、でも、そこをクドクドと説明しない、コッテリと押しつけない美徳、それが原恵一監督なのかもしれないわねぇ。