1.河瀬直美監督の作品は初めて見たんですが、綺麗な風景描写に手持ちカメラも交えたドキュメンタリーっぽい映像とまあこういうのが映画祭では評価されるんだろうなというありがちなスタイルですね。序盤の永作博美と井浦新のパートはまるで特別養子縁組制度の教育ビデオのようにも思えてしまいます。冒頭の子供同士のいざこざなんて物語上必要なエピソードなのでしょうか?そんな感じで途中まではだいぶ冷めた目で見てたのですが、蒔田彩珠のパートに移ってからはかなり引き込まれました。特に広島のパートがすごくいいですね。ラブシーンは日本映画ではなかなか見ない美しさでその後の展開との落差も含めて印象的です。広島の一軒家での生活のシーンではありがちと思っていたスタイルも完璧にハマってきますね。台詞にも本物らしさがあり作劇上の作為も感じさせず、ドキュメンタリーのような真実性と絵画のような美しさが同居して人生のかけがえのない一瞬をそのまま切り取っているような感覚を覚えます。永作博美と井浦新のパートの方はいかにもなドラマ仕立てにも感じられあまり好きにはなれないのですが、蒔田彩珠のパートの素晴らしさは確かにこの評価の高さも納得できるものでした。