5.《ネタバレ》 かねがねビスコンティの女性像はおかしいと思ってはいたのだけど、この映画はそんな歪んだ女性像から発展した、歪んだキャラクターを主人公に置いている。フリードリッヒの狂気は凄まじい。「時計仕掛けのオレンジ」並みの狂気だ。しかもそういう狂気をユーモアを混ぜず、ストレートに描いてくるから、始末におえない。ビスコンティが狂っているか、彼の属した貴族社会が狂っているか、どちらかだ。多分、ビスコンティがおかしいんじゃないかなぁ。でも恐るべきは、彼は歪んだなりに、映画としての体をなしているかのような作品を創り上げる、その気品だ。歪んでいても、しゃんと立っている貴族のプライドというか・・。ビスコンティが自分でも気づいていたとしたら、天才だね、こりゃ。