6.《ネタバレ》 邦画特有なのか、行定監督特有なのかわかりませんが、何もかもをグレーで終わらせる空気感がたまりませんね。
自分達のオリジナルブランドを作り、自分達の服を作ることに情熱をかける3人。そこに混ざるサラリーマンが1人。
普通であれば、そのサラリーマンが化学変化を起こすのか、はたまたその逆になるのか。
ところがこの映画にそんなものはありません。主人公のサラリーマンは、最初から最後まで『お客さん』でしかない。3人の優しさに甘えるだけの『お客さん』。少なくとも同じ戦力としての『仲間』には最後まで見えません。主人公にしかできないことをするとか、そんなエピソードは一切ありません。リアルと言えばリアル。そこは賛否が分かれるところ。個人的には『否』。だってそれじゃああまりにも物足りないじゃないですか。
みんながミシンを使って作業をしている様子は文句無くカッコよいです。
『オフ』と『オン』の描き方がこの作品は非常に良いです。
そして作った服にはさみを入れちゃうシーンは、最も衝撃的であり、最悪でもあります。
人によっては『次の一歩のための勇気あるリセット』に見えるでしょう。
ですが、私個人としては、『何を期待してるのか知らないけれど、今までお前が見てきたものは全部茶番なんだよ』と言われているようで、悲しいことこの上ないです。
雰囲気とキャストの演技だけで2時間見せてしまうのは凄いと思います。ですがこの作品がやはり『地味系』の作品であることに変わりはありません。だからこそラストくらい、ちょっと夢や希望を見せてほしかったんですが、残念。
仲良くなった外人が、みんなで作ったTシャツ着ているからって、そんなんじゃ全然足りない。
Tシャツといっしょに結局強制退去させられているし!