2.何か日本じゃ評価の高い映画ではあるけど…ちょっとあまりに図式的に過ぎやしないか? アルドリッチのハッタリ満点なタッチは楽しめるけど、善悪はっきりし過ぎの軍隊批判映画って、かえってペラペラな印象を与えるんじゃないかねえ。50年代のアルドリッチ作品じゃ、やはり『キッスで殺せ』のワケ分かんないモノ凄さがベストでしょう。 《追記》↑での、【鱗歌】さんのレビューに、小生の見方の浅はかさを思い知らされた気がします。…確かにその通りですね。ただ、アルドリッチ監督の映画においていつもぼくが圧倒されるのは、時として類型的にすぎる登場人物たちが、「物語」や「主題」といったものをただ円滑に語るためだけの“道具”としてあるのじゃなく、むしろ人間の「欲望」だの「狂気」だのといった[本質]こそを浮き彫りにするための手段としてある…という点にだったんです。その時、彼なり彼女なりは、ドラマの中の人物という立場を超えて、人間の「心の闇(ダークサイド)」そのものを具現化した存在となっている。が、そんな「闇」を凝視しながらも、一方で、そんな人間を決して否定せず、むしろ「闇」を抱えているからこそ「光(=崇高さ)」を求めずにはいないのだ…と断言する。抽象的な言い回しで申し訳ないのですが、まさにそういった部分が、ぼくにとっての「アルドリッチ作品」なんです。しかし、この『攻撃』は、そんな「理想的」アルドリッチ作品に見えて、どうしても山本薩夫(!)監督作品のような、単なる類型性や教条主義ばかりが眼について仕方がないという…。いずれにしろ、ぼくはこの映画をもう一度あらためて見直さなければなりませんね。