7.《ネタバレ》 何処となく「イヴの総て」(1950年)や「哀愁の花びら」(1967年)を連想させる内容。
女性のショービジネスにおける若手とベテランの確執を描いており、既視感は否めないんだけど、その分だけ王道の魅力もあるって感じですね。
上記二作に比べると女優陣が露出度高めで、エロティックな要素濃い目なのも、結果的には程好い「個性」になってた気がします。
それと、主人公ノエミ(=若手)とクリスタル(=ベテラン)の関係に、何やらレズビアンな匂いが漂ってるのも、興味深いポイント。
別れのキスの場面なんて、明らかに友情を越えた愛情というか「性愛」の匂いが感じられますし。
しかもノエミが出会う男は最低な奴ばかりで、女性にだけ優しい眼差しが注がれてる作りなんですよね。
この辺りの歪さは、オタク女子が描く「美男子だらけの同性愛世界」の性別逆転バージョンって感じにも思えました。
本作に不思議な魅力を感じてしまうのって、案外この「男にとって都合の良いレズビアン世界」っぽさにあるのかも知れません。
そんなこんなで、自分としては「女優陣の性的な魅力」「レズ要素」を好意的に捉えた訳だけど、それがそのまま「下品で低俗」「あざとくて幼稚」と欠点に感じる人もいるでしょうし、評価が分かれやすい映画だと思います。
正直言って、脚本の筋運びも雑であり(女友達のモリーがノエミを許す流れが唐突、など)完成度という意味では、決して高くないですからね。
ノエミが麻薬に手を出す場面や、クリスタルを階段で突き落とす場面を妙にアッサリ描いたりとか、監督の手腕にも疑問を抱いちゃう場面が多いです。
それでも、自分としては「好き」か「嫌い」かと考えたら前者になっちゃうというか……
なんか憎めない映画なんですよね。
観客どころか、脚本家のジョー・エスターハスにすら自虐ネタにされ「アラン・スミシー・フィルム」(1998年)で笑いものにされてるのを観た時も(もっと自分の作品に愛情持ってやれよ)って思えて、寂しくなっちゃったくらい。
その他にも、色んな映画で「最低の出来」と揶揄されてるし「ショーガール」ならどれだけ馬鹿にして笑っても構わないって扱い受けてるけど、ちゃんと良い所もあると思うんですよね。
終盤、モリーを傷付けた男に復讐するノエミの姿には、スッとしたし……
階段で突き落とされたクリスタルが、ノエミを責めようとせず「私も昔、同じ事をしたから」と淡々と語るのも、彼女が背負ってきたドラマを窺わせるものがあり、味わい深い場面でした。
ヒッチハイクで始まり、ヒッチハイクで終わる構成も、綺麗でしたね。
ノエミが出会った男の中では、この最初と最後に出会う「スーツケースを盗んだ男」が一番マシだったんじゃないかと思えちゃうのも、皮肉な魅力があって良かったです。
本作を世間が絶賛してたら(そうかぁ?)とは思うけど、まぁ反発はしないだろうし、逆に嘲笑の対象にされてたら「そこまで悪くないだろ」と庇いたくなる。
そんな距離感の、不思議な映画です。