1.《ネタバレ》 前作『大地のうた』に比べると遥かに楽しめたが、とにかく本作でも登場人物が死にまくる。
決して明るいとは言い難い内容。
受難の日々を描き、着実に成長していく主人公オプーの姿が描かれる。
当時のインドの世界観が伝わってくる雰囲気は特筆もの。
映画を観ている間は非常にその世界に引き込まれる。
この母親、苦労して貯めたへそくりを、息子の学資の為に提供する辺りは素晴らしいが、いかんせん、子離れできてない。
子離れできていないからこそ、寂しさも増す。
ある種の負の連鎖。
一方の息子。
帰省した時、わざと都会に戻るのを一日遅らせる辺りは素晴らしいが、いかんせん、母親に対して配慮が足りない。
年端もいかない息子だから仕方ないのかもしれないが・・・
母と息子の感情の行き違いが巧く描かれているが、全体的に漂うその無常感に嫌気がさした。
確かに一つの起こり得る現実を的確に描いてはいるが、あまりに悲しい物語だ。
貴重な時間を割いて観る映画としては、個人的に不適切な作品だった。