2.《ネタバレ》 観終わってみると、名家の没落後を描いたものだし、家族の崩壊が描かれてもいるし、たしかにヴィスコンティの映画なのだが、なんか毛色が違う。モノクロだからか?それとも音楽のせい?妻の実家に到着するまでの洗練された明るくモダンな作風とその後の妖しく暗い展開のアンバランスさは狙ってのものだろうが、正直、思ってたのと違うといった拒否反応みたいなものを少し感じた。大きな屋敷はヴィスコンティ映画らしい絢爛豪華さは皆無でむしろ「没落後」なんだとはっきり解からせるかのように寂しい雰囲気で被われている。そしてモノクロの黒が触れられたくない過去の遺物を包むように全編を被う。物語は姉弟の再会シーンの妖しすぎる抱擁にただならぬ関係を露呈させながらも、亡き父を、そして亡き父がいた生活を愛するがゆえの母への憎悪という、物語の根底ともいえるキーワードによって真相と行く末を混乱させてゆく。この混乱がドキドキワクワクといったものではなくイライラに近いものなのだが、ヴィスコンティお得意のズームアップが、ここー!ここよー!!この表情を見て!!ここ大事よー!!!といちいち合図してくれるので、停滞ぎみの物語から離れようとするたびに引き戻されてしまい、いつのまにかえらいこっちゃな結末へとなだれ込む。これも狙い通りなのだろうか。あと、このクラウディア・カルディナーレはどうも美しくない。あきらかに目元に過剰なメイクがなされていて、ゆえに何か意味があるのだろうが、やりすぎのような・・。