6.《ネタバレ》 ロバート・アルトマン作品をなぞった様な構成で、オープニングはロングショットでロングカット、そして群像劇という内容。
そして、ルキノ・ヴィスコンティの『ベニスに死す』をパクり、いや、オマージュを捧げた部分もある。
他にも、セリフ上でジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、フリッツ・ラング、ジャン=ピエール・メルヴィル、溝口健二なども出てきたりで、映画好きにはたまらない引用の数々がある。
それはそれで楽しいのだが、内容が薄っぺらいというイメージがどうも拭い去れない。
群像劇の欠点とも言える、散漫な印象が全体に現れてしまっている。
群像劇は、そういった散漫になりがちな映画全体を、登場人物たちを巧みに関連付けていくことにより、面白さを演出するものだと私は個人的に考えているが、どうも本作にはその演出も感じられない。
だが、最後の“劇中劇”のミステリアスさには、舌を巻いた。
圧巻のラスト。
殺人のシーンを劇中劇で見せている。
しかし、殺人のシーンが劇中劇で進むにつれ、次第に“劇中劇”と“劇中”の境目が曖昧になってくる。
観ているこちらも、本当に劇中で殺人が起きているのではないか、とハラハラドキドキさせられる
。
この演出は非常に面白い。
またこの手法も、私が無知なだけで、どこそこの引用かもしれないのがこわいが。