3.フランス人の役ならフランス語でセリフをしゃべるべき、とは必ずしも思いませんけれども、本作の場合は、そういう言語でのコントラストを両軍につけてもよかったかなあ、と。あのボソボソとした冴えない独白がまったく効果を上げていなくって、だったらもう、せめて、ウェリントンが英語、ナポレオンがフランス語と、描き分けてくれたらもう少しサマになったのではないかと(もっとも、コルシカ島出身のナポレオンがフランス語で独り言を言うものやらどうなのやら、知りませんけどね)。
ま、そもそも、この作品に独白を導入したのは失敗だと思うし、ナポレオンという人物の描き方自体、あまりうまくいってるようには思われません。
しかし本作、何せ、売りは人海戦術。後半、これでもかと大量の人員を投入した、ウォータールーの戦いの描写が続きます。これもまあ、うまく撮れているかというと、むしろ「何を撮ってるのか自分でもわからなくなってるんじゃないの?」と思えてくるくらい、駆け巡る騎馬隊やら、戦場の空撮やらがあまり脈絡なく並べ立てられてます。この、制御しきれなくなって映画がカオスとなってしまっているのが、はからずも本作の独特の迫力に結びつき、魅力とすら結びついてしまっている、ってのが、これぞディノ・デ・ラウレンティス・マジックとでも言いますか。