2.ベストセラー作家・京極夏彦の人気シリーズの2度目の映画化作品。
前作「姑獲鳥の夏」に続き、主要キャラクターを、堤真一を始めとして豪華な俳優陣が同じく演じている。(永瀬正敏が演じた関口だけ、椎名桔平に変わっていたが……)
不思議な映画だった。
ストーリーは、「匣(はこ)」に取り憑かれた男が繰り返す連続少女バラバラ殺人を軸に、怪奇的に紡がれるミステリーだが、その物語のテイスト以上に、“噛み砕けない”映画だったと思う。
京極夏彦の原作を未読で、物語の核心をつかめていないことが、そもそも入り込めない要因なのかもしれない。
おそらくは、原作はもっと緻密にストーリーの裏に蠢く人間の「闇」を描き切っているのだろう。
堤真一、阿部寛、椎名桔平をはじめとする主要キャストの掛け合いはとても秀逸で、彼らのパフォーマンスを観ているだけでも、結構魅せる。
ただそれが、そのまま映画の核心にリンクしていないという印象。物凄く面白いようで、とてつもなくつまらない。完全に相反する感想が共存する感覚が残る。
原作風景を意識した作り込まれたビジュアル、良い意味で仰々しい演技、見所は確実にあり、豪華な舞台作品を観ているようにも感じる。
自信をもって「面白い!」とは言えず、すべてが消化される「快感」はないが、ひとつの映画体験としては、こういうのもアリだとは思う。