1.茨城の閑村を舞台にした、非常に重たいドラマ。
田舎だからこその閉塞感というか、行き場のない退屈さ加減が、観ている者を憂鬱にさせる。
都会の人間関係は希薄で冷たいというが、田舎でも結局は違う形で人間は追い詰められているのであって、本質は何ら変わりがない。
人間のつながりの脆さ、人間は結局は孤独という思いがこみ上げてくる。
そんな中で、根津甚八と秋吉久美子は、諍いを起こしながらも、お互いにすがりつき、そういった孤独感を少しでも埋めようとする。
だがそれは決して問題を根本的に解決するような行いではなくて、結局は破綻の道を辿った。
たとえ毎日が退屈で変化のないものであったとしても、コツコツとやっていけば、きっとこういうことにはならないのではないか。
嫌なことから逃げずに、地道に踏ん張ることこそが、自分や家族を守る最善の方法なのでは、と考えさせられた。
行き場を失い、覚せい剤に溺れた人間の行く末を、どうしようもなくリアルに描いた本作は、観ていて決して気持ちの良くなる代物ではないが、監督の言わんとしていることは、実に明確に伝わってくる骨太な作品であった。